日本人10人に1人は腰痛を自覚しており、何らかの症状を自覚している人の中では男性で1位、女性では2位と非常に多くの人が腰痛を抱えてます。平成 25年国民生活基礎調査 - 厚生労働省P.30 また、腰痛を生涯に経験する人は80%にのぼります。
当院に初めてお見えになる方でも約3割の方が腰痛を訴えて来られます。そうした方からよく耳にするのが「整形外科を受診したが良くならなかった」というものです。これには特異的腰痛と呼ばれる、医学的に原因が特定できるものが非常に少ないからです。
腰痛を訴えて病院で受診する人のうち、医師の診察や画像検査(X線やMRIなど)で原因が特定できるものは実は全体の15%にすぎません。これを特異的腰痛といいます。腰椎椎間板ヘルニアなどはこれに入ります。
残りの85%は病院でさまざまな検査をしても明確な原因が特定できない腰痛です。これを非特異的腰痛といいます。
画像からは痛みは分からない
腰部のレントゲン画像からは骨の配列や変形、炎症の兆候、大動脈瘤、腫瘍などの徴候は見えます。レントゲン画像で何らかの異常が発見されてもまったく腰痛の自覚がないことがあります。反対に、レントゲン画像では異常がなくても腰痛を訴える人がいます。
これはMRI、CTなど他の画像検査にも言えますが、画像検査は痛みを映し出すものではないのです。
非特異的腰痛は、現代医学的にそれを特定できる方法がないために痛みの原因は不明とされていますが、椎間板のほか腰の関節・背筋の筋肉のどこかに痛みの原因がある可能性は高いと考えられます。また最近の研究ではその3分の2には心理的な要因が関わっていることが分かってきました。